2012年1月24日火曜日

府営原山台五丁住宅

大阪府堺市南区原山台
ツインコリダー数: 1棟
形状区分: 両面ピット
供給区分: 府営
築年代: 昭和49~51年
撮影: 2010年3月



今回は、色即是空寂寞系です。

中層住棟に囲まれるようにして建つツインコリダー型住棟です。
中層とツイコリが併存する団地は、まあ少ない方ですが、あるにはあります。

ただ、ここの特徴をあえて言うならば、大阪府営なのにスキッププロア型ツイコリじゃないというところでしょう。
大阪府営のツイコリはなぜかスキッププロア型のツイコリが多いのです。
百舌鳥梅町、堺戎島、摂津南別府、岸部第一・・・etc.
ここだけが、スキップフロアじゃないという。

だから何なんだと自分でも思いますが、まあそういうことで。




↑それにしても凄い存在感ですね。
このツイコリは、ちょっと遠目から見るのもツウです。
っていうか、近くからはあんまり全景を見られないからね。



↑道を隔てた向かいには、スキップフロア型の住棟もあります。
あれはあれでかっこいいけど、今回は構わないでそっとしておきましょう。

では、いつものようにツイコリを妻側から見てみましょう。



↑どーん。さすがは府営。
装飾性、デザイン性というものが一切ありません。
ちょっとここをオサレにしようとか、そういう気が端からないのでしょう。
だが、それがいい!

1階のアプローチ部分も見てみましょう。



↑ハラショー!
思わずロシア語で叫んでしまうほどの質素さです。

あえて1つだけデザイン性のある箇所を挙げるならば、
スロープの右のコンクリ塀に、段差が1段設けられていることぐらいでしょうか。

ええっ!?そこデザインなの!?

と突っ込まれそうですが、ひょっとしたら花壇的な何かなのかもしれません。

軒が緑色に塗られて褪せていることもデザインと言いたいぐらい、それぐらい質素です。
余計なものが何もないことの素晴らしさよ。

いや、デザインや装飾が一般的に不要だと言うわけじゃないけれども、
それはそれ、これはこれ。



↑かっこいい!
ほらね、装飾性を排除してるからこそ、このかっこよさが成立するのだ。

例えば、ピットのコーナーに下手にアールなんか付けたのを想像してみたまえ。
ダッサダサになるでしょ。ゴミ捨て場のゴミ収納ケースみたいになるでしょ。浮かれポンチな感じになるでしょ。

だから、このツイコリはこれでいいのだ。
こうするのがストイックでかっこいい。

えらそうにすみません。



↑質感が素晴らしい。
エアブラシを使っても、なかなかこれほど味のある質感は出せないですよ。
と、プラモ少年みたいなことを言ってみたくなるぐらいです。

それにしても、良い寂寥感です。

では、住棟内部の吹き抜けを見てみましょう。



↑何という無造作な枯山水。
これほどなのか!これほどなのか!と二度つぶやくほどの寂寥感。
どうしたいのか、全く分からない!

この柵に囲まれた枯れきった異次元空間を前にして、
僕は己の無力さに打ちのめされそうになりました。

美とは何なのか。
思考と感性が抱き合いながら渦を巻いて、白砂ならぬ灰砂が具象する淀んだ水面に呑み込まれていくのを、僕はただ傍観することしかできないでゐるのでした。




↑高く積み上がった階層に光が差す。
もう、咎狗の血とかに出て来そうなかっこよさですよね。




↑1階ピロティには、プレイロットもあったりして。
寂寥感を損なわない、これ以上ないシンプルさ。

座って休憩するためのものかもしれないけど、
だったら長椅子的なベンチを作るでしょう、常考。

タイルのカラーリングも渋くてすてき。
閉鎖空間内における統合思念体の集会所みたいですよね。
(何だよそのたとえは。)

まあ、野放しにしておくと、何でもすてきと言いかねない僕ですが。




↑何という律儀さ。
たった1段の階段にも手すりをつけるという、予算を使いきらねばという公共事業的な事情バリアフリー化できなかったことへ少しでも報いようという涙ぐましい意図の表れでしょうか。
意地でもこの手すりを使いたくなりますよね。

それはそれとして、これは景色として好きです。




↑府営団地特有のいわゆる「囲み型住棟配置」を上から見ることができます。
駐車場化されたエリアも見えますが、プレイロットが広く残っていることが嬉しいです。
ビバ!建て増し!


というわけで、 色即是空寂寞系ツインコリダーを擁する、府営原山台五丁住宅でした。


以上。


2012年1月17日火曜日

都営西台アパート&都公社西台住宅

東京都板橋区高島平
ツインコリダー数: 4棟
形状区分: 両面ピット / 人工地盤
供給区分: 都営 / 公社
築年代: 昭和45年(都営), 昭和48年(公社)
撮影: 2011年9月



↑右3棟が都営西台アパート、一番左端が都公社西台住宅です。

いわゆる、西台団地のツイコリ群です。
ツイコリが4棟並ぶ団地ってのも、ありそうでないです。
他にパッと思いつくのは、大阪市営新北島住宅ぐらいでしょうかね。
まるでツイコリの基地ですね。

ここが特異なのは、4棟全ての妻側のデザインが異なるところです。
上の写真を見てもらうと分かるかと思いますが、全く表情が違います。

さらにここが凄いのは、1階が電車の車庫ってところです。

まあ、下の写真を見たまえ。(えらそうに)



↑天は人の上に人を作らず、車庫の上にツイコリを作りたもうたわけで。
いや、ツイコリの下に車庫を作ったと言いたい。(違うけど)

人工地盤の下に車庫、上にツイコリ。
こんなにブッ飛んだツイコリはここしかないでしょう。



↑人工地盤の下には、電車さん大集合です。



↑電車電車電車電車電車電車電車電車電車電車電車電車。
セガールが好きそうな光景です。




↑その電車さん達の上に、これが屹立してるわけです。
妻側壁面の突起物(おでき)といい、レンガ調タイルといい、二度折れ曲がる優美
な柱といい、見目麗しきこの素晴らしいツイコリは、都公社西台住宅です。



↑当たり前のように庭がありますが、全てが人工地盤の上にあります。
それにしても、西台のツイコリはバルコニー面のフォルムが美しいです。




↑もう一つ、ここの特徴は、2階(人工地盤上の1階)の平面構成の巧みさです。
人工地盤上に4棟もツイコリがあるので、各棟の2階をピロティにすることで、
人の平面移動をスムーズにしているのです。たぶん。




↑ブリッジがあったりしますが、ずーっと奥までくぐり抜けられます。
見通しが気持ちいいのは大事。

遠近感の楽しめる、かっこいい空間構成なのだ!




↑巨大な住棟の2階(人工地盤上の1階)も、ズドーンと広いピロティに。
遊具があったりなんかして、有効にスペースが使われています。

ほんと、全てがグッとくるんだよね。




↑ほれぼれする美しい立面。
これね、何でここまでキュンキュン萌えるのかというと、都営なのに公団の初期型
久米設計ツイコリ(昭和43年・公団金町駅前団地 / 昭和44年・公団大島四丁目団地)に、バルコニー面がどことなく似ているからなんだよね。

この都営西台アパートが昭和45年築だから、時代的にはとても近いわけで、どこが設計したのか知りたいところ・・・。


足元で外側にスッとひろがる柱といい、碁盤目状にベランダと窓が並ぶ立面といい、
典型的な初期型ツイコリのデザインは、大好きです。



↑西端の8号棟は、外壁補修のためか足場が組まれていました。
足場ファンにはたまらない、壮観な眺めですよー。
全国に足場ファンがどのぐらいいるのか知らないけども。。



↑足場を装備したツイコリ、かっけー!
やばいです、足場かっこいいです。




↑「ザ・都営」なピットも、美しい縦横比とディテイルのパターンを持ってますね。




↑内部の吹き抜けですが、右の廊下は改修のために幕が張られています。
これはこれでレアな眺めです。




↑なんと内側にまで台形フォルムの柱が列を成していました。
かっこいい廊下です。(写真をクリックして拡大して見ると伝わりやすいかと)





というわけで、ツイコリ好きにはたまらない聖地的な西台団地なのですが、
このときは見る時間があまりなかったので、また再訪して報告したいと思います。


以上。

2012年1月9日月曜日

市営山科住宅

京都市山科区西野様子見町
ツインコリダー数: 2棟
形状区分: 両面ピット / 渡り廊下
供給区分: 市営
築年代: 昭和46~47年




外観はマッシヴ、内側はクール。
というのが、このツイコリの特徴です。

つまり、どこを見ても鑑賞的価値が高いということです。

まずは、外観をバシッと見てみましょう。




↑んんー、マッシヴ。(マンダムじゃないよ)
この存在感はただ者じゃないですよね。
三国志で例えると張遼ぐらいの存在感はありますよね。

山に囲まれた平地にドーンと佇むツイコリが2棟。
こいつぁー目立ちますぜ、旦那。

では、いつものように妻側を寄って見てみましょう。




↑ドーン!さすが張遼!(まだ言うか)

この妻側の何が良いかって、削り出したような壁面のコンクリの質感ですよ!
よく見ると、塗り込めたような凹凸があって、絶妙な寂寥感の中に明るさを湛えた、
もののあはれを感じずにはいられない壁面ではないかっ。

そして、壁面に影を落とす、ワイヤーフレームの住棟番号「1」。
「1」というのはただの縦棒、つまり究極のシンプル、侘びの極致を行く造形です。
ともすれば見落としてしまいそうな地味で素っ気ない佇まいが、美とは何かを教えてくれているような気がしてなりません。

アホみたいな話ですが、半分本気です。
(もう半分はふざけてるのかよ)

さらに、コーナーを面取りしたメタリックなピットが超クールなのですが、
そこはさらに寄って見ましょう。



↑かっこいいですね。
コーナーが面取りしてあるだけでピットの表情が豊かになるという好例です。
さらに、腰壁の材質が光沢のある網目状の金属なので、メタリックかつ透明度があり、渡り廊下から空が透けて見えて、何とも言えない味を醸しています。

一言で言うと、「た・ま・ら・ん!」 というやつですね。




↑美しいですね。
つや消しのメタリック素材には渋く、コーナーの窓には鮮やかに、空が映り込みます。




↑ちょうクール!
配管萌えの僕としてはたまらないものがあります。
メタリックな配管は後付けのものが多く、付き方によっては興ざめなものもあるのですが、無駄なく二度直角に折れ曲がるこれは秀逸です。

では、吹き抜け内を見てみましょう。




↑渡り廊下型の良いところは、1階がオープンになって採光が多くなるところですね。
レンガの道を敷き、下手に樹木などを植えず、すっきりさせているのも良いです。



↑上から見ても、明るくて開放感があります。
半透明な渡り廊下が、閉塞感を出さないように効果を発揮しています。




↑自転車、傘、鉢植え・・・と、メタリックで無機質な廊下に生活を感じさせるアイテムが
点在しています。
この無機と有機のコントラストも、ツイコリの醍醐味です。




↑おなじみのビューも、一味違う、メタリック風味。
タケヤ味噌かよ。




↑Stylish!(デビルメイクライかよ)
下から見上げたときの静謐とクールさといったら、夏の厚さも吹き飛びます。
全てが人工物の寂寥たる世界で、空が唯一の自然の色彩だとすれば、
空は即ち色、色は即ち空。色即是空、空即是色・・・。
ツイコリの吹き抜けに、禅的空間を僕は感じます。(まじめかよ)

実際、7月に行ったときの写真ですが、涼しかったですよー。

ツイコリの吹き抜けというのは、特に1階がピロティになっている場合、
風が通り抜けて日差しは直接届かないので、洞窟のような効果になって涼しいのです。
これは、幾つものツイコリに足を運んで感じていることなので、間違いないです。




↑この網目状(プレートに穴が多数あるタイプ)腰壁は、なかなか良いです。
廊下に明るさを確保しつつも、下が見えないので高所が苦手な人でも怖くなさそうです。
そして何よりメタリックでかっこいい!
この長い廊下も壮観です。

というわけで、外観はマッシヴ、内側はクールな市営山科住宅でした。

以上。

2012年1月2日月曜日

県公社西宮田近野団地

兵庫県西宮市田近野
ツインコリダー数: 2棟 
形状区分: アールデコピット
供給区分: 公社
築年代: 昭和54年


このツイコリは、アールデコピットです。
って、また新しい造語を。
ま、次の写真を見てもらえば、分かりますよ。
言わんとするところが。




↑住棟番号が端っこ過ぎて心憎いですよね。遠慮がちでキュートです。
って、そこじゃなくて。

中央は、見事なアールがついてますよね。
アールがついたデコピットだから、アールデコピット。
アール・デコ建築とは何の関係もありません(キリッ

アップで見てみましょう。



↑すてき!
昭和50年代的なアールですよね。
縦開きの窓が開いているのも、いとおかし。
窓フェチとしてはたまらないです。

では、このアールの中はどうなってるのか、見てみましょう。




↑ギリシャか!
今、何かとお騒がせなギリシャっぽい、柱が1本立ってます。
あくまで、っぽいですよ。

ともあれ、アールのついた窓と柱、エレガントです。




↑丸のついた部分に、何だか半球形のポッチが。
パッと見、採光用のトップライトかなーと。

近づいて見てみましょう。




↑なんじゃこりゃあ!(松田優作風に)
どうしてこうなった・・・不思議すぎる!

さらに近づいて見るっ!




↑未知との遭遇です。
僕はとんでもないパワースポットに来てしまったのではないだろうか・・・。

せっかくだから、下を覗き込んで見ました。




↑ええええええええええええええええ!
下まで一気通貫かよ!
想像の斜め下を行ってくれる、素晴らしい景観がそこに。

下へ行くほどに明かり取りとしての効果が微妙かと思ったのですが、
実際に行ってみると、意外と明るかったです。


つ、次、行ってみようっ!(いかりや長介風に)




↑これね、向かいの棟との連結部付近なんですが、
なぜか向かいの踊り場は、アールがついてます。
こっち側はついてないのに。
とにかく、棟ごとにデザインが全然違うという。。
かっこいいからいいけどね。



↑吹き抜け内のビューです。
縦開きの小窓が互い違いについてるのがE!(何がE!だ)
踊り場ごとに律儀に窓を付けてくれた結果、窓フェチを萌えさせる景観が生まれたわけです。

では、下を覗き込んで見ましょう。




↑と、トランポリン?
先生、トランポリンで遊んでいいですかー!わーい!
って、いや、どっちかというと焼肉の網でしょ、あれは。(違

まあたぶん、トップライトの上に落下物避けの金網を設けたんだと思います。
とりあえずボケないと気が済まない腐った心を浄化したいです。。




↑こちらは別の棟の吹き抜け内です。
小窓が1列、あとは全部壁という、やばいぐらいストイックな風情です。
よく分からない階段といい、なぜかグッと来る造形です。

そのストイックさとは対称的に、左手前のベンチの可愛いさったらもう。
何これツイ百景に認定したいですね。



↑補修跡?がまるでアートのように!
これはたまらない。ドアの色といい、何というポップセンス。
いや決して狙ってそうしたわけじゃないんだろうけど、だがそれがイイ!



↑そして、説明不要のイナズマライン。
いや説明しろよ、いいかげん。

それにしても、何でもあるな、ここのツイコリは。(華麗にスルー)

そんな舐めた姿勢でいたせいか、僕は重大な過ちを犯していたことに、
下の写真を見て、気づいてしまいました。




↑イナズマラインを内側から撮って喜んでいたわけですよ。
これはかっこいいなと。
ギザギザに風景を切り取るイナズマラインかっけー!と。

しかし、写真をよく見ると、川の対岸にツイコリが見えるじゃあーりませんか!
そのツイコリは、尼崎市営昆陽の台団地なんですが、そこにツイコリがあることに
僕が気づいたのは、何とこの写真を撮ってから1年後のことなのです。

浮かれてると未知のツイコリを見落とすという、教訓を得たということで。



↑定礎っぽい石板が住棟にありました。
こういうのがあると竣工年とか情報がわかりやすいので、
団地好きとしては、本当に助かります。

下の方には、日本エレベーターとあります。
が、別の棟では、HITACHI製のエレベーターがありました。

というわけで、
アールデコピットに謎のパワースポットにトランポリン、イナズマラインに至るまで、
見どころ目白押しの県公社西宮市田近野団地なのでした。

以上。