2009年7月5日日曜日
公団九番団地
ツインコリダー数: 2棟
愛知県名古屋市港区九番町1丁目
昭和49~54年築
今回は、公団でしかも名古屋のツインコリダーを紹介します。
この九番団地は、ツインコリダー以外の住棟も多く、そのどれもがとてもユニークなデザインになっていて、とても心惹かれる団地の一つです。
↑1号棟と2号棟がツインコリダー型、4~6号棟はスキップフロア型、その他は全て片廊下型です。
ここでは紹介しませんが、この団地のスキップフロア型住棟は、中高層で非常に見応えのある質感を持っています。さらに、超長大な3号棟のスケールも圧巻ですし、折れ曲がった8号棟のバルコニーデザインも素晴らしいです。
↑まずは、長大な1号棟を北側から見てみましょう。
まず目を引くのは、側面中央の左側の銀色の配管でしょう。おそらく後付けなのだと思いますが、それが返ってメタリックなかっこよさを伴って、側面のデザインを引き締めているように感じます。
レンガ色のタイルの壁面を目の粗い格子状の白タイルが引き締め、メタリックな住棟番号でトドメをさすという、非常に男前な側面を持ったツインコリダーだと思います。
↑少しアップで見てみましょう。
やはり、配管と住棟番号のメタリック感が、全体を引き立てていてかっこいいです。
↑同じ住棟の南側は、配管がありません。
多分、こちらが本来の姿なのだとは思いますが、個人的には、メタリック感がない分、物足りない気がしてしまいます。
↑1号棟の吹抜け内部です。
1階部分が駐輪場になっているツインコリダーは結構あるのですが、このように吹抜けスペースがきれいに確保されているケースは、あまり見ないです。
この九番団地の吹抜けは、1階部分が水平方向に開放されているので、横からも光が入って明るいです。
同じ名古屋市内でも、市営住宅のツインコリダーは、1階部分が住戸になっていて吹抜けスペースが駐輪場になっているケースが多いです。
大阪でも、市営は1階に住戸があるツインコリダーが多く、公団では1階に住戸がないものが多いです。
推測ですが、ツインコリダーの1階部分には住みにくい要素があって、公団はそれに対応した住戸レイアウトを考えたのかもしれません。
↑長大なツインコリダーの吹抜け部は、やはりこのアングルに迫力が出ると思います。
正面奥の4つずつ並んだ窓に、九番らしいデザインの洗練を感じます。
↑実は、この1号棟の吹抜け部1階には、集会所がありました。
その名も、「九番集会所」。
ネーミングから類推するに、この1棟だけの集会所というわけではなさそうです。
団地の集会所をわざわざこの吹抜け部中央に持ってくるセンスというか、省スペースのアイディアというか、僕にその発想はなかったので、とても新鮮でした。
↑こちらは2号棟の北面です。
1号棟の側面とは何から何まで全然違います。ガンダムとコアファイターぐらい違うと思います。
1号棟のあの洗練された凝ったデザインとは違い、のっぺりとしていてシンプル、素朴さを感じます。
適当なデザインの超合金ロボットに見えなくもないですが、どこか憎めないのが不思議です。
窓の配し方など、投げやりな雰囲気すら感じないでもないですが、これはこれでワビサビの味わいがあるような気がします。
素朴な余白の取り方にも、独特の味わい、趣きを感じます。
↑この素晴らしい九番団地で唯一残念なのが、このゴミです。
収集時間外に大量投棄され、ゴミが集積場所から溢れ出し、ハエやカラスがたかっていました。
他の集積場所では、もっと酷い状況もありましたが、さすがに写真に収める気にはなりませんでした。
どうも、九番団地には、外国人(主にブラジル人だと思われます)の住人が多いようで、彼らの公衆道徳が日本のものとは異なるのかもしれません。
住民同士で解決する方向も必要かもしれませんが、まずURが率先して課題として取り組む必要があるように思いました。
↑2号棟の吹抜け内部です。
これまた1号棟とは全く違うので、驚きました。
なんと中に街灯があります。
さらに、こちらはなぜか、1階の左右にフェンスが張られ、自転車が吹抜け部の屋根のあるわずかなスペースに締め出されています。他にも、停めきれない自転車が、廊下や共用スペースに置かれています。
ただ、どこかあっけらかんとした明るさがあって、雰囲気はよかったです。
勝手な想像ですが、住民の楽天的な性格が出ているような、そんな印象を持ちました。
↑小さめのツインコリダーは、吹抜けの全景がカメラに収まります。
↑2号棟の南面は、北面の投げやりな感じとは違って、少し凝ったデザインになっていました。
小学校に面しているので、少し見栄えに気を遣ったのでしょうか・・・。
とはいえ、北面の味わい深さといい、吹抜け内部の街灯といい、僕はこの2号棟がかなり気に入ってしまいました。
↑何だかファクトリーな感じのポンプ室?とツインコリダーのバルコニー面。
大きく育ったクスノキのヴィヴィッドさと、工場っぽい殺風景さとが同居していて、それがイイカンジです。
↑ワールドカップの時期に、もう一度来て見たいと思いました。
以上、公団九番団地でした。
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