2011年7月27日水曜日

府営百舌鳥梅町住宅

大阪府堺市百舌鳥梅町
ツインコリダー数: 1棟 
形状区分: 両面ピット / スキップフロアツインコリダー / 住棟番号スプリット型
供給区分: 府営
築年代: 昭和47年



スキップスキップらんらんらん♪
昨今は、大人でスキップしている人を見かけません。
いやまあ、昔からそうかもしれませんが。。。
ここだけの話、僕は周囲に誰もいないのを確認してから、たまにスキップしています。

って、この情報は要るのかよ?

まあそれはそうと、ですよ。
大阪府営のツイコリには、スキップフロア型住棟が多いのですよ。
府営岸辺第一住宅、府営堺戎島住宅、府営摂津南別府住宅・・・
ときて、この府営百舌鳥梅町住宅。
もずうめまちじゅうたく。

こう書くと、ツイコリでスキップフロアって珍しくないじゃん!
と思うかもですが、ぶっちゃけ大阪以外で見たことがありません。
つまり、大阪府営がすこぶる頑張ってるだけ。

いや、頑張ったらスキップフロアになるのかは置いといて。
スキップフロアは、マニア的にはポイント高いんですわ。正味の話。
どうポイントが高いのか、このエントリーで感じてみてくださいなー。

では、いつものように、妻側から見てみましょう。



↑これも大阪府営のツイコリの特徴なんですが、
左右の棟で住棟番号が分かれています。
このタイプは他でもたまにあります。。

窓に庇がないので、壁面がでこぼこせず、フラットな質感が出ていますね。
まあ、デザイン的に狙ったわけじゃないでしょうけど。

では、バルコニー面を見てみましょう。



↑昭和47年築にしては、モダン過ぎません?最近のマンションみたい!

それもそのはず。
2009年か2010年あたりに、大規模な改修があったようで。
なので、外ヅラがすこぶる良くなっています。

というか、これはレアなんですよ。
古いツイコリの造形と、最近のマンションぽい外観とが融合しているわけで。
バルコニー面がデザイン的に新しくなって、その他は塗り替えと補修のみという感じなんですが、それが返って、1枚目の写真のような新鮮なランドスケープを生んでると思うのでし。

何だよ、でしって。

次、内部の吹き抜けを見てみましょう。



↑これぞ、スキップフロアツイコリ!いやー、かっこいい!
各階に廊下がないのが、スキップフロア型。
それゆえに、スキップフロア型住棟は、造形が変化に富んでいて面白いんですが、
さらにツイコリ成分も味わえるという、二度美味しいのがたまらないですね。



↑何かこう、基地っぽいかっこよさなんだよね。
廊下にのみアクセスしてる階段室の密度と、間引きされた空間のバランスが美しいと思うのでし。
だから、でしとかやめて。



↑これもほんとに基地っぽい。スペースコロニー的な。
無重力空間を飛んでいって、階段室の開口部から出入りするみたいな。
ああもう、かっこいいったらありゃしない。



↑これはもう、侘び数寄に近いと僕は思うわけで。
間引きされた空間構成と、床のコンクリートのひび割れの補修跡。
府営なので、床を見栄えよくするためのコーティングとかしないから、
コンクリート剥き出しなわけで。

だが、それがいい!

この無機質さの中に、僕は造形的な萌えを感じるわけです。
さらに言うと、吹き抜け内の共用スペースは無機質なのに、
各住戸内には有機的な生活空間が確実に存在するわけで。
その想像上の対比こそが、ツイコリ鑑賞の真の魅力!

そ、そこまで行ったら変態かもしれないと、ちょっとだけ思います(爆)。

まあでも、ツイコリに限らず、団地の何が良いかって、
そこに人々の暮らしがあるってところだと思うわけで。

一言で言うと、生活感。
家の外側にそれが滲み出たり出なかったり、
その濃淡を肌で感じ取ることも、団地巡りの楽しみだと。

あ、真面目なことを書いてしまいました。。


次、外に出て、ピットを見上げてみましょう。


↑府営のスキップツイコリ特有のピット。
相変わらず飛んで行きそうになるビュー。
凹凸とディテイルのパターンが組み合わさると、テクノサウンドが聴こえてきます。。

最後に、最上階のピットからの眺望を見てみましょう。


↑手前の吹き抜けというか中庭?のある建物は、大阪府立大学です。
その向こうは、大阪平野の突き当たりまで、開けた眺望。
二上山、葛城山、金剛山の稜線がくっきりと見えます。

ここからは離れていますが、僕が子供時代に住んでいた団地のベランダからも、
同じ山並みが見えました。
僕の原風景の一つです。

って、ちょっとしんみりしちゃったじゃねーか!


・・・というわけで、魅力満載の大阪府営百舌鳥梅町住宅でした。
以上。

2011年3月5日土曜日

都営北砂一丁目第3アパート

















東京都江東区北砂
ツインコリダー数 : 2棟
形状区分 : 両面ピット / スカイクロスビュー / ピットに掛時計あり
供給区分 : 都営
築年代 : 昭和46~47年

ここはツイコリ好きは必見!
ツイコリ激戦区の江東区が誇る、神ツイコリの1つですよ。

妻側の朱色が鮮やかですね。
って、そこが一番のポイントじゃないっす。






















↑近っ!
2棟が近接して建っています。

って、まさか、まさかまさかまさかっ!?

まさかりかついだ金太郎。
じゃなくて。



















↑きたーーーー!スカイクロスビュー
2棟が近接し、ピットが正対する時にのみ現れるという伝説のツイコリビュー。

・・・ラピュタは本当にあったんだ!(やかましいわ!)

スカイクロスビューが存在するツイコリは、
ここの他には 大阪市営瓜破東第二住宅 しか僕は確認していません。

ありそうでないんですよ。
基本、公団は2棟を近接させることがないし、
よしんばあったとしても、ズラして建てるので正対せず、クロスが成立しないという。

このスカイクロスビュー、住宅の機能としては無意味(むしろマイナス)ですが、
ツイコリ好きとしては、宇宙の神秘を感じさせるほどに神々しいのです。

クロスの中心に、オリオン座の3つ星がはまる時っ!まさしく綺羅星☆っ!みたいなね。
いや、何も起こらないだろうけどね。

このビューをデザイン化して、ツイコリ十字団を結成したいぐらいです。


















↑絶妙なポップさ!
車と入り口付近のモザイク模様と、住棟の赤とピットと。

あまり知られていませんが、スカイクロスを上から見下ろしたビューを、
グラウンドクロスビューと言います。

知られていないも何も、スカイクロスビュー自体、お前が勝手に考えたんだろうが!

と、つっこまれそうなので、調子に乗るのはこのぐらいにしときます。


















↑この高さでピットを真正面から見られるのも、ここならでは。
もちろん、大阪市営瓜破東第二住宅でも見られます。

















↑すてきすぎる。
小名木川をクルーズするとこのビューが拝めます。


以上、スカイクロスビューを擁する都営北砂一丁目第3アパートでした。

2011年3月1日火曜日

公団牛巻団地

















名古屋市瑞穂区牛巻町
ツインコリダー数 :1棟
形状区分:両面ピット
供給区分:公団
築年代:昭和51年

さて、牛巻団地ですよ、うしまきだんち。
パッと見の外観は、ごく普通のツイコリです。
これといった特徴なんかないだろうと思いそうになります。

では、いつものように妻側から見てみましょう。






















↑普通のピットですね。
右上に、「UR牛巻」と漢字で書いてあるのは、ややレアですけど、
まあ、全体的に普通な外観と言っていいでしょう。

しかーし!
ここの特徴は足元にあり!
敵は本能寺にあり!みたいなノリですみません。


















↑ほらっ!
1階のアーチと屋根がどことなく馬具っぽいデザイン。
これ、ありそうでないです。






















↑斜め具合といい、アールといい、
公団は、素っ気ないようでいてデザインを付けてきます。
しかし、過剰な装飾性を帯びることは絶対にないという奥ゆかしさが、
公団のツイコリ鑑賞の醍醐味なのです。

いや、単に限られた予算と容積率の中で頑張った結果、
中途半端なデザインしかできなかったのかもしれませんが。

しかし、鑑賞する側としては、その方が返ってクドさがなくて、
味わい深かったりします。



















↑便利!
ポストもATMも、団地の1階にあるなんて、便利すぎるー!

ってそうじゃなくて。
郵便標識がひっついてる柱がエレガント!
軒を支えるたわんだアールの曲線美がたまらないですね。























↑吹き抜け内には、和洋折衷の石庭が!
レンガと玉砂利の組み合わせは斬新ととれますが、
思いつきな感じも微妙に漂っていて良いですね。

まさに公団お家芸、「土木と芸術の狭間をゆく造形」ですね。
曲線の組み合わせ具合いからして、個人的にはデザイン性が高いと思います。


















↑謎のオブジェとらくがきこくばん。
各階の渡り廊下に、こういうプレイロットがありました。
壁にらくがきされるのを未然に防ごうという、涙ぐましい工夫かな。























↑和洋折衷石庭を見下ろす!
蛇行するアマゾン川を上空から見たような感じです。
いや、石狩川か、はたまた釧路湿原か!
・・・どうでもいいですね。

ま、まあそれなりに壮観なのでした。


とにかく、足元に特徴のある、公団牛巻団地のツインコリダーでした。

以上。

2011年1月31日月曜日

三郷町営住宅

















奈良県生駒郡三郷町立野南
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面ピット / 住棟番号セパレート型
供給区分 : 町営
築年代 : 不明 (屋根形状から昭和50年代と思われる)

のどかな場所にあります。
田畑や山がある場所にツイコリは、普通ありません。
ツイコリは、基本、人口を効率的に集積する目的で建てられることが多く、
のどかな場所には建てられないものです。

ところが!
ここはとてものどかです。
しかも、高層じゃなくて、6階建てです。
人口どうこうというより、趣味でツイコリにしたのか、
当時の流行りを取り入れただけなのか、立地上の事情があったのか・・・。
三郷町の町営住宅は、1棟から21棟まで点在していますが、
ツイコリはこの1棟だけです。

ともあれ、超レアなツイコリなのです。

それでは、いつも通り、妻側から見ていきましょう。


















↑うむ。なかなか瀟洒、ブルーの軒がかわいいですね。
小さくても一丁前に立派なツイコリの風貌をしております。
左右で住棟番号が分かれています。
そして、2階へアクセスする階段が面白いです。
大体、妻側の階段は横向きに付けることが多いのですが、
住棟自体が小さいので、真っ直ぐずどーん!でよかったのでしょう。























↑ピットを見上げてみました。
ちょっとだけ右側が出っ張ってます。
6階建てなので、あまりズラリ感はありませんが、
空を舞うトンビが見えたりして、のどかです。


















↑吹抜けも小さくてかわいらしいのです。


















↑もっと小さな吹抜けもあったりします。


















↑1階ピロティからの眺め、のどかです。
右手前には小さなお堂、中央奥には旧家の甍、そして山並み・・・。
こういう立地にツイコリが建つこと自体、夢のようです。


















↑なんと、エレベーターが廊下に面しています。
住棟が小さくてエレベーターホールを作るスペースがないですからね。
このパターンも他に見たことがないです。























 ↑小窓の枠がせり出してるのがイイ!
このデザインもありそうでないです。


















↑敷地内には、キノコの遊具というかおうちが。
なかなかサイケデリックですね。
って、これ見てサイケとか言う僕の感覚、大丈夫か。
どっちかというとメルヘンチックでしょうかね。


















↑すばらしい景色。
緑豊かでなだらかな坂の向こうに見えるツイコリ。


















↑カーブミラーに映るツイコリ遠景。
うねった道といい、絵になりますね。

それはそれとして、気になってしょうがないものがあります。























↑ミラーの下にある「目」は何!?怖いっ!
フリーメーソンか、二十世紀少年か。
いや、ほんとに怖い、何なんだ一体。


というわけで、
ちょう素敵な三郷町営住宅のツイコリでした。
以上。

2011年1月21日金曜日

県営上湊川高層住宅
















神戸市兵庫区荒田町
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面凸ピット
供給区分 : 県営
築年代 : 昭和46年

今回はハードボイルド風味のツイコリです。
いやまあ、あくまで個人の感想ですが。

それでは、いきなり妻側から見てみましょう。
























↑渋い!
斜めの面を効果的に使った凸ピット。
しかし、この妻側全体の素っ気なさは、ただ者じゃありません。


次、妻側の足元を見てみましょう。
















↑ハードボイルドですよ、これは。

は?どういうこと?
と、言われそうなので、根拠を説明しましょう。

まず、1階部分はピロティになってますよね。
それなのに、わざわざ妻側に外出し階段を作って、
屋外からしか2階にアクセスできないようになっているのです。
(この方式は他所にもちょいちょいあります)
この禁欲的なアクセス方式もすでにハードボイルドっぽいですが、
さらに、なんとこの外階段は、登った先が塞がれていて使えない!
つまり、横から入るなと。


この冷徹さはかなりのハードボイルドでしょう。
冷徹だとハードボイルドなのかは置いといて。
さらに、そもそも冷徹なのかも置いといて。

さらに、銘盤を見てみましょう。
















↑このドライな威圧感!
タフな書体といい、感情に流されないコンクリートの質感といい、
奥に咲いているチョウセンアサガオといい、ハードボイルド感を醸してくれます。


いやまあ、そういう見方に囚われているだけでもありますが。

 














 ↑エレベータが4基!
4基というだけでも珍しいですが、
1箇所に集中させる思い切りが素晴らしいです。

では、吹抜けを見てみましょう。

















↑怖かっこいい!
この乾いた景観はたまらないですね。
吹抜け内に街灯を配置することは、まれにあります。























↑素晴らしい。
奥壁の三連窓といい、コンクリの質感といい、
ワビサビの極致と言ってもいいでしょう。























↑張り詰めた緊張感のある造形美。
その緊張感は、おそらくは純粋に造形が生み出すもの。
(あくまで個人の感想です。)























↑コーナーの面がいい!
このタイプもたまにあるのですが、
ここのはシンプルでコンクリートの質感が好きです。
大友克洋の「童夢」に出て来るツイコリも、
内側面のコーナーに面がありますね。























↑窓フェチとしてはたまらない!
造形的には、このタイプの窓が一番好きです。

コンクリート然とした建物は一見無機質ですが、
住宅である以上、居住空間には住人の営みがあり、
社会化された共用スペースとともに、非常に有機的です。
その対比を感じ取ることも、ツイコリ鑑賞の醍醐味だと僕は思います。

というわけで、
難易度高めでハードボイルド風味なツイコリ、県営上湊川高層住宅でした。
以上。

2011年1月14日金曜日

公団むつみ台団地

















東京都練馬区光が丘
ツインコリダー数 : 3棟
形状区分 : 片面極浅ピット / 妻側煙突 / ギザギザバルコニー
供給区分 : 公団
築年代 : 昭和48年

今年のURカレンダーの1月を飾っている団地です。
閑静な住宅街に佇む、品のよいツイコリたちです。
高島平団地とコーシャハイム光が丘の間ぐらいに位置します。
って、ツイコリ基準で地理を説明されても分かんねー!























 ↑3棟仲良く並んでます。
よく見ると、中央の2号棟だけやや大きいです。
それにしても、さすが公団、住棟間隔が広いですね。
豊かなオープンスペースが確保されてます。

それでは、いきなり見所を紹介しましょう。


















↑ギザギザバルコニー!
このテクノなテクスチャー感もすごいですが、
手前から奥に向かって一段ずつ出っ張っているように見えて、
実は面全体としては真っ直ぐという、エッシャーのだまし絵のような
錯視感がたまらないです。

このタイプのバルコニーは、
公団武庫川団地にもあります。

では、妻側を斜に構えて見てみましょう。


















↑すっきり!
浅いピットの奥壁に並ぶ、横長の窓がかっこかわいいです。

この際、反対側の妻側も見てみましょう。


















↑フラット!
これはありそうでないですよ。
まず、右側にある焼却炉の煙突が、屋上に突き抜けてます。
これが何ともいえず、かわいい。
それから、両サイドに2列ずつ並ぶ小窓。
中央に帯のように列をなす窓もいいです。
窓フェチの僕としては、かなり萌える造形と言っていいでしょう。
淡いピンクと白の色彩もE!

何がE!だよ。
ま、まあ、妙にまとまった完成度の高い妻側だと思うのです。

内部の吹き抜けを見てみましょう。


















↑スロープがどーん。
ボウリングごっこをしたくなりますね。
奥には駐輪場があります。























↑うーむ、なかなか!
何がどうなかなかなんだよ。

なかなかのストイックさを持っています。
突き当たり壁面のコンクリートにワビサビを感じます。

でまあ、公団としては比較的珍しいのですが、
ここは1階に住戸があります。


















↑実は配管大好き!
複雑な配管を見つけると、つい見とれてしまうのは何故なんだろう。


















↑ファンタスティック!
一貫して出っ張っている(ように見える)のに、面としては真っ直ぐ。
この錯視感がほんとにたまらない。


















↑萌えるぅ~!
もはや何の説明も要らない。というか、できないw
やばいぐらいグッと来ます。
大丈夫か、僕。

というわけで、
ギザギザ錯視バルコニーを擁する、公団むつみ台団地でした。

以上。