2011年1月31日月曜日

三郷町営住宅

















奈良県生駒郡三郷町立野南
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面ピット / 住棟番号セパレート型
供給区分 : 町営
築年代 : 不明 (屋根形状から昭和50年代と思われる)

のどかな場所にあります。
田畑や山がある場所にツイコリは、普通ありません。
ツイコリは、基本、人口を効率的に集積する目的で建てられることが多く、
のどかな場所には建てられないものです。

ところが!
ここはとてものどかです。
しかも、高層じゃなくて、6階建てです。
人口どうこうというより、趣味でツイコリにしたのか、
当時の流行りを取り入れただけなのか、立地上の事情があったのか・・・。
三郷町の町営住宅は、1棟から21棟まで点在していますが、
ツイコリはこの1棟だけです。

ともあれ、超レアなツイコリなのです。

それでは、いつも通り、妻側から見ていきましょう。


















↑うむ。なかなか瀟洒、ブルーの軒がかわいいですね。
小さくても一丁前に立派なツイコリの風貌をしております。
左右で住棟番号が分かれています。
そして、2階へアクセスする階段が面白いです。
大体、妻側の階段は横向きに付けることが多いのですが、
住棟自体が小さいので、真っ直ぐずどーん!でよかったのでしょう。























↑ピットを見上げてみました。
ちょっとだけ右側が出っ張ってます。
6階建てなので、あまりズラリ感はありませんが、
空を舞うトンビが見えたりして、のどかです。


















↑吹抜けも小さくてかわいらしいのです。


















↑もっと小さな吹抜けもあったりします。


















↑1階ピロティからの眺め、のどかです。
右手前には小さなお堂、中央奥には旧家の甍、そして山並み・・・。
こういう立地にツイコリが建つこと自体、夢のようです。


















↑なんと、エレベーターが廊下に面しています。
住棟が小さくてエレベーターホールを作るスペースがないですからね。
このパターンも他に見たことがないです。























 ↑小窓の枠がせり出してるのがイイ!
このデザインもありそうでないです。


















↑敷地内には、キノコの遊具というかおうちが。
なかなかサイケデリックですね。
って、これ見てサイケとか言う僕の感覚、大丈夫か。
どっちかというとメルヘンチックでしょうかね。


















↑すばらしい景色。
緑豊かでなだらかな坂の向こうに見えるツイコリ。


















↑カーブミラーに映るツイコリ遠景。
うねった道といい、絵になりますね。

それはそれとして、気になってしょうがないものがあります。























↑ミラーの下にある「目」は何!?怖いっ!
フリーメーソンか、二十世紀少年か。
いや、ほんとに怖い、何なんだ一体。


というわけで、
ちょう素敵な三郷町営住宅のツイコリでした。
以上。

2011年1月21日金曜日

県営上湊川高層住宅
















神戸市兵庫区荒田町
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面凸ピット
供給区分 : 県営
築年代 : 昭和46年

今回はハードボイルド風味のツイコリです。
いやまあ、あくまで個人の感想ですが。

それでは、いきなり妻側から見てみましょう。
























↑渋い!
斜めの面を効果的に使った凸ピット。
しかし、この妻側全体の素っ気なさは、ただ者じゃありません。


次、妻側の足元を見てみましょう。
















↑ハードボイルドですよ、これは。

は?どういうこと?
と、言われそうなので、根拠を説明しましょう。

まず、1階部分はピロティになってますよね。
それなのに、わざわざ妻側に外出し階段を作って、
屋外からしか2階にアクセスできないようになっているのです。
(この方式は他所にもちょいちょいあります)
この禁欲的なアクセス方式もすでにハードボイルドっぽいですが、
さらに、なんとこの外階段は、登った先が塞がれていて使えない!
つまり、横から入るなと。


この冷徹さはかなりのハードボイルドでしょう。
冷徹だとハードボイルドなのかは置いといて。
さらに、そもそも冷徹なのかも置いといて。

さらに、銘盤を見てみましょう。
















↑このドライな威圧感!
タフな書体といい、感情に流されないコンクリートの質感といい、
奥に咲いているチョウセンアサガオといい、ハードボイルド感を醸してくれます。


いやまあ、そういう見方に囚われているだけでもありますが。

 














 ↑エレベータが4基!
4基というだけでも珍しいですが、
1箇所に集中させる思い切りが素晴らしいです。

では、吹抜けを見てみましょう。

















↑怖かっこいい!
この乾いた景観はたまらないですね。
吹抜け内に街灯を配置することは、まれにあります。























↑素晴らしい。
奥壁の三連窓といい、コンクリの質感といい、
ワビサビの極致と言ってもいいでしょう。























↑張り詰めた緊張感のある造形美。
その緊張感は、おそらくは純粋に造形が生み出すもの。
(あくまで個人の感想です。)























↑コーナーの面がいい!
このタイプもたまにあるのですが、
ここのはシンプルでコンクリートの質感が好きです。
大友克洋の「童夢」に出て来るツイコリも、
内側面のコーナーに面がありますね。























↑窓フェチとしてはたまらない!
造形的には、このタイプの窓が一番好きです。

コンクリート然とした建物は一見無機質ですが、
住宅である以上、居住空間には住人の営みがあり、
社会化された共用スペースとともに、非常に有機的です。
その対比を感じ取ることも、ツイコリ鑑賞の醍醐味だと僕は思います。

というわけで、
難易度高めでハードボイルド風味なツイコリ、県営上湊川高層住宅でした。
以上。

2011年1月14日金曜日

公団むつみ台団地

















東京都練馬区光が丘
ツインコリダー数 : 3棟
形状区分 : 片面極浅ピット / 妻側煙突 / ギザギザバルコニー
供給区分 : 公団
築年代 : 昭和48年

今年のURカレンダーの1月を飾っている団地です。
閑静な住宅街に佇む、品のよいツイコリたちです。
高島平団地とコーシャハイム光が丘の間ぐらいに位置します。
って、ツイコリ基準で地理を説明されても分かんねー!























 ↑3棟仲良く並んでます。
よく見ると、中央の2号棟だけやや大きいです。
それにしても、さすが公団、住棟間隔が広いですね。
豊かなオープンスペースが確保されてます。

それでは、いきなり見所を紹介しましょう。


















↑ギザギザバルコニー!
このテクノなテクスチャー感もすごいですが、
手前から奥に向かって一段ずつ出っ張っているように見えて、
実は面全体としては真っ直ぐという、エッシャーのだまし絵のような
錯視感がたまらないです。

このタイプのバルコニーは、
公団武庫川団地にもあります。

では、妻側を斜に構えて見てみましょう。


















↑すっきり!
浅いピットの奥壁に並ぶ、横長の窓がかっこかわいいです。

この際、反対側の妻側も見てみましょう。


















↑フラット!
これはありそうでないですよ。
まず、右側にある焼却炉の煙突が、屋上に突き抜けてます。
これが何ともいえず、かわいい。
それから、両サイドに2列ずつ並ぶ小窓。
中央に帯のように列をなす窓もいいです。
窓フェチの僕としては、かなり萌える造形と言っていいでしょう。
淡いピンクと白の色彩もE!

何がE!だよ。
ま、まあ、妙にまとまった完成度の高い妻側だと思うのです。

内部の吹き抜けを見てみましょう。


















↑スロープがどーん。
ボウリングごっこをしたくなりますね。
奥には駐輪場があります。























↑うーむ、なかなか!
何がどうなかなかなんだよ。

なかなかのストイックさを持っています。
突き当たり壁面のコンクリートにワビサビを感じます。

でまあ、公団としては比較的珍しいのですが、
ここは1階に住戸があります。


















↑実は配管大好き!
複雑な配管を見つけると、つい見とれてしまうのは何故なんだろう。


















↑ファンタスティック!
一貫して出っ張っている(ように見える)のに、面としては真っ直ぐ。
この錯視感がほんとにたまらない。


















↑萌えるぅ~!
もはや何の説明も要らない。というか、できないw
やばいぐらいグッと来ます。
大丈夫か、僕。

というわけで、
ギザギザ錯視バルコニーを擁する、公団むつみ台団地でした。

以上。

2011年1月13日木曜日

公団尾西団地

















一宮市起字与三ヶ巻
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面ピット
供給区分 : 公団
築年代 : 昭和52年

東海道新幹線から見えるツイコリです。
大阪方面からの場合、岐阜羽島を過ぎて木曽川を渡ってすぐのあたりから、
北側に聳え立つ公団尾西団地の雄大な姿が見えます。
近くに高い建物がないので、かなり遠くからでも目立つ存在です。
東海道新幹線に乗るときは、公団尾西団地を刮目して見るべし!

実はここ、中層住棟2棟と高層のツイコリ1棟という、珍しい住棟構成だったりします。

それでは、いつものように妻側から見てみましょう。


↑シンプルで素晴らしいピットです。
ピット奥壁の、メタリックなパネルサッシがすてきです。
何気に住棟番号もメタリックで存在感があります。
公団片山公園団地の凹凸を削ぎ落として、
スッキリさせたような感じでしょうか。























↑ニッチな石庭。
1階ピロティのわずかなスペースにかわいい石庭が。
こういう場所に敢えて何かしてやろうという公団の心意気がすてきです。
壁面のポップな色彩にも目を奪われます。

では、内部の吹き抜けを見てみましょう。























↑かっこいい!
っていうか、床に聳え立つアレは何?


















↑意味深なオブジェ!
柵で囲ってあるので、遊具ではないっぽいです。
ということは、公団お家芸の「土木と芸術の狭間をゆくオブジェ」なのか!?

ま、まあ、これはどっちかというと現代アート寄りな方だと思います。
色と高さ太さの違う円柱を意味ありげに並べただけだけど、
床の敷石の向きとか、段差のつけ方も凝っているので、
アートと言い切りにくいアートという風情です。


















↑うーむ。やはりアートと言い切りにくい何かを感じますね。
っていうか、横の配管も萌えますね。


















↑ピロティにかわらいしく並ぶ椅子たち。
19脚も椅子があるでやんすよ。
どこどなくメルヘンチック。
なんかピコピコしてる。
何だよ、そのボキャブラリーは。























 ↑かこいい!
斜めから見る夕暮れのピットもいいですねぇ。


というわけで、アートと言い切れないアートなオブジェを擁する、
公団尾西団地なのでした。

以上。

2011年1月11日火曜日

市営上飯田南荘

















名古屋市北区上飯田南町
ツインコリダー数 : 4棟
形状区分 : 両面フラット(おでき有)が1棟 / 両面凸ピットが2棟
供給区分 : 市営
築年代 : 昭和50年, 51年


植栽にフェニックスがあると、急に南国感が出ますよね。

それはそうと、久しぶりの名古屋市営でござる。
バルコニーの形状は、同じ名古屋市営の南新開荘と似てるというか、
ほぼ同じです。
色違いで似ている氷室荘の方が古い(昭和43~47年)のに、
デザインはゴージャスという、よく分からないパラドックスがありますが、
押しなべて名古屋市営のツイコリが、公営としては気合いが入っている
ということだけは、確信を持って言えます。


















↑大きなツイコリが1棟、小さなツイコリが3棟あります。
便宜上、親棟と三つ子棟と呼ぶことにします。


では、三つ子棟の妻側から見てみましょう。























 ↑住棟番号が小さい!
凸ピットを備えた、素朴な市営らしい妻側です。
両サイドの窓の白い縁取りがかわいいですね。

では、内部の吹き抜けを見てみましょう。


















↑端整な内側面です。
開口部が互い違いになっているあたり、
最小限の予算でデザイン性を打ち出そうという心意気を感じます。


















↑ちゃんとツイコリ!
何だよそのセリフは。
まあ、小さくてもちゃんとツイコリですよと。
いっちょまえに見上げたビューも、美しいのです。


















↑微妙にシャレてる!
吹き抜けの足元の床は、市松模様。
駐輪場を吹き抜け内に持ってくるパターンは、
名古屋市営ツイコリに多く見られる仕様です。


















↑まるで合わせ鏡!
天地くんと抜作先生のよう。
って、その例えは頼むからやめて。

ま、まあ、不思議な形状のスカイビューですね。
三つ子住棟は近接しているので、住棟と住棟の間に
独特のシンメトリーなスカイビューが望めます。

それでは、長大な親棟の方を見てみましょう。


















↑おでき!
フラットな妻側なんですが、四角いおできが縦に並んでます。
おできとは、住宅都市整理公団総裁が提唱した、
住棟に唐突にポコッと出た突起物のことを言います。

ここのは、共用バルコニーですが、おできと言ってよいでしょう。
撫でてみたくなります。

では、親棟内部の吹き抜けを見てみましょう。


















↑カコイイ!
突き当たりにイナズマラインが見えますね。
つまり、階段室が横向きになっているってことです。
だから、イナズマラインって何だよ。























↑ちょうきれい!
市松模様の床が美しいです。

というか、駐輪場長すぎるでしょ。
とりあえず端から端まで作っちゃえ!
という名古屋市営の豪気さに舌を巻くというか、
こういうの大好きです。 えへっ。

まあ実際、見下ろしたビューが幾何学的に美しいわけで、
かなり感動しました。


















↑なんかずんぐりしてる。
と感じるのは、やはりおできのせいでしょうか。
10階建という低さのせいもあるかもですね。

というわけで、
名古屋市営の心意気を存分に発揮してくれる、
市営上飯田南荘のツインコリダーなのでした。

以上。