2010年10月18日月曜日

県営河原町団地
























神奈川県川崎市幸区河原町
ツインコリダー数 : 4棟(連結型は吹き抜けの数を勘定)
形状区分 : 両面ピット / Y字型 / アトリウム型(都市内包空間構造)
供給区分 : 県営
築年代 : 昭和45~49年

今回は神ツイコリです。
バルタン星人の頭みたいな、宇宙的な外観を持っています。
それにしても、何ですか、このメガストラクチャーは!
どこをどう見ても、かっこよすぎます。

もうちょっと寄ってみましょう。

















↑どーん。
えっ?何これっ?中はどうなってるのよ!?
ねえっ!これどういうことなのっ!説明してちょうだいっ!
って、慌てないでくださいね。
今お見せしますから。

















↑か、かっこいいにもほどがあるっ!
まるでサイド7、スペースコロニーのようです。
この空間は、建築家 大谷幸夫氏の設計によるアトリウム(都市内包空間)
というもので、公共の集合住宅でこれがあるのは世界でもここだけなんだそうです。はい。
大谷幸夫氏は、丹下健三研究室に所属した後に独立して大谷研究室を作り、
その時にこの河原町団地を設計したそうです。
これ豆知識ね。てへっ。

このアトリウム、正直、何度見ても鼻血が出そうなぐらい萌えます。


















↑これ、団地なんですよ!
斜めに廊下がせり出しているなんて、すてき過ぎて声も出ません。


















↑地球の住居とは思えません。素晴らしすぎて卒倒しそうです。
これが昭和40年代後半に建ったわけです。
何というオーパーツ的デザイン。時代を突き抜けてます。


















↑こんな廊下、見たことない!すてきすぎます。
斜めに突き出た柱が列を成す造形がたまりません。

そして、アトリウムを下から見上げると・・・・























 ↑巨大な梁(はり)の上に広がる、
天空へと連なる吹き抜け、まさしく、ツイン!コリ!ダー!
神々しさすら漂います。


















↑アトリウムの上はこうなっているのです。
スパーン!という音が聴こえそうなぐらい、真っ直ぐなビュー。
白亜のツインコリダー、美しいです。


















↑アトリウムの外観は、階段上のバルコニーになっており、
これまた変化に富んだ素晴らしい造形なのであります、大佐!

というわけで、今回の記事は、書きながら興奮を隠しきれませんでした。
って、隠すつもりだったのか!

この河原町団地は、市営の住棟もあり、そちらも素晴らしいのですが、
それはまたの機会に紹介しましょう。

以上、県営河原町団地でした。 












2010年10月15日金曜日

公団高島平団地

















東京都板橋区高島平
ツインコリダー数 : 5棟
形状区分 : 配管うにょ~ / ダストシュート有 / 渡り廊下型
供給区分 : 公団
築年代 : 昭和47年

高層住棟で構成されたものとしては、初めての都心型マンモス団地。
ここはツイコリ以外にも、素晴らしい高層住棟がたくさんあります。
もちろん、ツインコリダー的にも聖地なのであります!隊長!

まず、上の形状区分に「配管うにょ~」って書いてますが、
配管うにょ~って何なのよ!奥さん!そんな言い方認めませんわっ!

ま、まあ詰め寄らずに、落ち着いて次の写真を見てくださいね。

どーん。






















↑これですよ。配管がうにょ~。
何なんでしょう、このデススターの内部みたいなのは。
ドームみたいなのがありますね。
中でダースベイダーとルークスカイウォーカーが戦いそうです。
このSF的景観に、グッと来るわけですよ!























↑今度は上から見ました。
落下防止の金網が幾重にも張り巡らされています。
こんなに厳重なツイコリは、僕が知る限りではここだけです。
これはこれで、ブレードランナー的なそそられる景観なのであります。

もういっちょいきましょう。























↑た、たまらん!
このウニョ~な複雑な配管が、何度見てもたまりません。
縦の配管の下を横の配管がくぐったり乗り越えたりしてます。
ちょーかっこいい!としか言いようがありません。

わかっていただけましたでしょうか、奥さん。
いや別に、奥様向けのブログというわけじゃないですが、
そこはノリということで・・・。


















↑現役のダストシュートです。
昭和30年代物のレトロな侘び寂び漂うものとは違って、
メタリックです。70年代のR2D2的なSFテイストを感じます。
それが言いたかっただけです。

あと、注意看板の「捨」の字だけが赤いのも、
強調の仕方が微妙で好きです。























↑ツイコリの妻側です。
妻側って何?とよく訊かれますが、団地妻とは関係ありません。
まあ、側面のことです。
そのうち別ページで詳しく説明を試みる・・・かもしれません。

で、この妻側ですが、かっこいい!
縦に列をなす窓の、頑ななまでに装飾性を排除したストイックさ。
そして、渡り廊下の開口部にしつこく張り巡らされた、
落下防止用の柵も、設置当初は切実な事情がありましたが、
今となっては他にないデザイン、個性だと僕は思っています。

そして、住棟番号。
東京でよく見られる、2-33-7という3連番も心憎いですが、
これもやはりメタリックな質感が良いですね。
そして、数字の下の3本のラインがオサレ!
これがあるのとないのとでは、妻側全体の印象が違います。


















↑ツイコリ住棟上階から望む、高島平団地の景色。
緑あふれる素晴らしい団地なのです。

今回紹介した写真は、去年行ったときのものですが、
ここは近いうちに、もう一度行きたいと思います。

以上、公団高島平団地でした。

2010年9月22日水曜日

夢野ハイタウン

兵庫県神戸市兵庫区菊水町
ツインコリダー数: 1棟
形状区分: スターツインコリダー / 片面ピット
供給区分: 公社分譲
築年代: 昭和47年

堂々たる迫力、素晴らしい造形ですね。
ツインコリダーとV字形住棟が合体して、Y字形になっています。
団地でY字形といえばスターハウス。つまり、この住棟はスター型でもあり、ツインコリダーでもある・・・。
言うなれば、スターツインコリダー!(また造語を作ってしまったw)
略してスタコリ!

スター型でツイコリでピットあり。
もうね、スペック的には満漢全席というか、夢のようなツイコリなわけです。


















↑見上げればツイコリ。
深く切れ込んだピットと、個性的なバルコニー面を惜しげもなくさらしてくれます。
どうだ!と言わんばかり。


←ピットを下から見上げてみよう!
カッコよすぎでしょう。
もうね、飛んでいきたくなりますよね。
アムロ、行きます!とか言って発射したくなりますよね。
そして窓に映る空がすてき。
































↑ツインコリダーといえばお約束のこのビュー。
吹き抜け内部のビューです。
横向きの階段室が、ガラス張りになっていてハイソな感じがします。
階段が平行に縦に並ぶ直線に見えて、幾何学的デザインに見えます。
視覚的に同じパターンが繰り返してるのって、美しい!


















↑V字のビュー!すてき!
ツイコリの反対側はこうなってます。豊島五丁目団地のV字コリダー(Vコリ)みたいですね。
それにしても壮快な開きっぷりです。開脚前転したくなります。

写真では紹介しませんでしたが、この夢野ハイタウンは、バルコニーもちょう個性的です。
興味のある方は、訪れてみてはいかがでしょうか。


・・・とまあ、久々の更新でしたが、ネタだけはたっぷりありますので、ビジュアル重視のあっさり目な記事をお届けしていきます。

2009年12月12日土曜日

市営瓜破東第二住宅



ツインコリダー数: 3棟
大阪市平野区瓜破東
昭和47年築

公共賃貸検索システムによると2000年・2004年の表記も見られるが、そこまで新しい住棟とは思えない。)



ご覧の通り、見事なスカイクロスビューを持つ団地です。
と、当然のようにスカイクロスビューという用語を使いましたが、本邦初出であることは間違いありません。
僕が勝手に作ったツイコリ用語なので(苦笑)。
用語定義と解説をしておきます。

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【スカイクロスビュー】
真下から見上げた時に空が十字架の形に見える眺望のこと。
二棟のツインコリダーのピットを向かい合わせに近接配置することにより成立する。
尚、シンメトリーの美しいスカイクロスビューが成立する条件として、以下の三要素がある。

 1.「二棟のピットが近接している。」
    間隔が広いと、十字架の形として見えづらくなる。
    意外に、近接している団地は少ない。

 2.「二棟のピットが正対している。」
    ずれて向かい合わせになっていると、十字架の形が崩れてしまう。

 3.「ピットの幅が狭い。」
    ピットの幅が広いと、十字架の形として見えづらくなる。
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とまあ、今のところ、こういう定義をしているわけですが、今回紹介する市営瓜破第二住宅は、見事に三要素を備えた美しいスカイクロスビューを持っています。



↑向きを変えて見ても、この通り。
上下左右のシンメトリーがとても美しいと思います。
夕方で暗くなる時間帯だったので、建物が暗く見えて、空の十字架が綺麗に強調されています。



↑向かい合わせの住棟番号。
このビューが見られるのも、二棟が近接しているからこそです。
公団の団地は、住棟間にゆとりを持たせてあることが多いので、これほどのビューが望めることは
そうはないと思います。
美しいクロススカイビューが拝める可能性が高いのは、市営などの公営住宅だと思います。

ただ、クロススカイビューの鑑賞以外の観点で考えると、近接配置の妥当性はどうかと思います。
が、まあここでそれをどうこう言うのは野暮だと思うので、これ以上触れないでおきましょう。



↑上から見ても壮観なのです。
地面から上に向かって伸びる立体的十字形を楽しむことができます。



↑別なアングルから。
上から見える十字形の地面のことを、グラウンドクロスビューと僕は呼んでいます。
惜しむらくは、真ん中から見下ろせないことです(苦笑)。
が、この景観は、僕の目には一種のインスタレーションとして映ります。
意図的にしろ偶然にしろ、造形物の配置によって生じたこの空間構成に特別な魅力を感じるのです。



↑向かいの棟からズームなしで撮っています。
この高さで、向かい側住棟のピットを正対して撮ることができるのも、レアなのです。たまらん!
廊下の明かりが列を成して見えるのが綺麗です。



↑青空と夜間灯が共存している時間帯だけに見られる光景です。(11月下旬の17時台でした)
ポンッと灯った明かりのズラリ感が、昼間にはない魅力を醸し出してくれます。



↑吹抜け内部です。
暗くて少し怖かったりしますが、両サイドからの黄色い夜間灯と、階段室の白色蛍光灯の列がイイです。



↑黄昏時に佇むツインコリダー。
吹抜け内部から漏れる光が美しいです。
夜になるとさらに光の量が増して見えるのですが、今回は夕方なのでこれぐらいです。
いつか、夜にも撮ってみたいと思っていますが、一眼レフで三脚を使わないと、綺麗に撮るのは難しそうです。



以上、市営瓜破東第二住宅でした。

2009年10月9日金曜日

県営高御堂住宅



ツインコリダー数: 2棟
愛知県稲沢市高御堂
昭和47~50年築

いきなり側面のショットから紹介します。
昔、学生服のボンタンなどを変形ズボンと言ったりしましたが、この団地は、ツインコリダーと片廊下型住棟が合体した、いわゆる変形ツインコリダーです。(また勝手に用語を作りましたw)
上の写真を見ると、中央のタワーと左側の住戸棟は、ツインコリダーによくある造形です。
が、右側には強引に片廊下型住棟が連結されています。



↑つまり、こういう形をしているのです。
北側の側面から、ニョキッと片廊下型住棟が突き出ています。
こうすることによって、2つの住棟による囲み配置的な効果を狙ったのかもしれません。
実際、1号棟と2号棟に囲まれたオープンスペースは、開放感を維持しつつ中庭的な雰囲気がありました。
また、ここでは紹介しませんが、この団地にはツインコリダーの他に、羊羹型の中層フラット住棟が8棟もあり、こういう住棟タイプの組み合わせも珍しいと思います。



↑その中庭的なオープンスペースがこれです。
広々としたスペースにシロツメグザが敷き詰められており、遊具もそれなりに充実していました。
ここには写っていませんが、子供がたくさん遊んでおり、古き良き団地の風景を感じました。
団地は、建物が寂れても、子供がたくさんいると健全さと温かみを損なわないと思います。



↑ツインコリダーの吹抜け内部です。
写真では分かりにくいですが、奥に駐輪場があります。
駐輪場と植栽が同居しているのは、ありそうでないと思います。また、目をひくのは、タワーの上層階に設けられた外階段です。屋上か給水タンクへのアクセスのためだとしても、外に階段を付ける意味が分かりません。たまたまそういう設計にしただけと言われればそれまでですが。。

あと、面白いのは、1階部分の廊下と吹抜けスペースの間に境界壁があることです。
つまり、オープンになっておらず、1階住戸から吹抜けへ行くには、住棟の両端からのアクセスに限られるということです。
1階に住戸があるツインコリダーで、これは珍しいと思います。
が、或る部分で理にかなっているようにも思います。例えば、境界壁があることで、雨が降っても吹抜けから1階住戸の玄関に水が来るようなことはありませんし、向かい側からのプライバシーも或る程度保たれます。
が、採光の面では、少し難があるかもしれません。ツインコリダーは、1階が最も暗くなるものですが、吹抜けとの境界をオープンにすることで、横から光を多く取り入れることができます。しかし、境界壁を設けてしまうと、横からの採光が減ってしまい、より暗くなります。
一長一短あるということになりますが、どちらかというと雨水が玄関に来てしまうことの方が嫌なので、境界壁を設ける方がメリットが大きいかもしれません。

あと、上の写真で、片側だけパラボラアンテナが多いのがなぜなのか、気になります。
電波状況の偏りなのか、単なる偶然なのか・・・。



↑ツインコリダーとしては長大な部類に入るので、高層棟と見紛いそうになりますが、実は7階建ての中高層棟なのです。なので、バルコニー側を見ると、中層フラット(羊羹型)住棟の趣きにも似た、団地団地した雰囲気も感じられます。
細長くて高層ではないツインコリダーというのは、珍しいかもしれません。



↑住棟連結部周辺の佇まいです。
なぜだか明確には分からないけれど、僕はこの風景が好きです。
ここに住んだこともなく、ここに似た場所に住んだこともないのに、団地で生まれ育った者として、懐かしさや郷愁にも似た感情が湧き起こり、心を揺さぶられ、また安堵するのです。
コンクリート、貫通した開口部、草木、子供・・・といった要素がイメージとして抽象化され、そういった感情を喚起するのかもしれません。



↑南側面は、とてもマッシヴです。
マッシヴという表現にふさわしい重量感を備え、独特のコンクリートの冷たさを感じます。
この冷たさを得も言われぬ魅力として感じられる僕は、やはりかなりのマニアなのかもしれません。



↑これとか、たまらん!と思ってしまうのは僕だけでしょうか。。。
このコンクリートの質感といい、量感といい、質素且つ静かなる佇まいに、侘び寂びを感じるのです。
僕の美意識に一人で乾杯します(苦笑)。



↑壁面の余白の取り方に、美しさを感じます。
設計した人は、そんなことを狙ったわけではないでしょう。
おそらく、住居としての機能以外に、装飾的な意図はないのだと思います。
でも、意図していないからこそ、素朴さの中に美を見出せるのではないでしょうか。。

以上、県営高御堂住宅でした。

2009年9月21日月曜日

市営南新開荘



ツインコリダー数: 1棟
愛知県名古屋市瑞穂区新開町
昭和52~53年築 / 676戸

前回紹介した北新開荘から少し南西に行ったところに、あります。
北新開荘が7階建ての小住棟だったのに対し、この南新開荘は長大で、幅もかなりあります。
北と南とでこれほど規模が違うことの意図するところを知りたいです。
上の写真では、奥にもう1棟見えますが、それはツインコリダーではなく、片廊下住棟です。



↑この南新開荘の最大の特徴は、この側面のデザインにあると思います。
エアコンの吹き出し口のように、斜めに黄色い壁を並べたデザインは、市営らしからぬ懲りようだと思います。
僕が見てきた限りでは、名古屋の市営ツインコリダーは、公営住宅としては凝ったものが多いように思います。



↑側面下部の出入口付近も、このように統一感を持たせてあります。
北新開荘を先に見たので、サイズといいデザインといい、ギャップの大きさに面食らいました。
北新開荘と南新開荘とでは、場所と築年代が近いというだけで、他に何の共通点もないと思います。



↑バルコニー側です。
シンプルながらも、変化をつけたテクスチャーレイアウトだと思います。
中央に開口部があることから、内部の吹抜けが中央で区切られていることが推測できます。



↑つまりは、こういう構造です。
ちょっといい加減な図ですが、放水口を明示するのが目的のようなので、これで良いのでしょう。



↑吹抜け内部には、駐輪場がありました。
1階に駐輪場があるケースはよく見られますが、こちらは1階に住戸を配して吹抜けに駐輪場を設けてあります。
このパターンは、市営住宅に多く見られるのですが、設計上のネックになるのは、外部から駐輪場への導線をどう確保するかということだと思います。
ここでは、住棟中央を横断する通路から、スロープで導線を確保してあります。



↑住棟端側の開口部へのアプローチも、スロープが切ってあります。



↑そして、住棟中央の開口部も、きちんとスロープになっています。

つまり、この南新開荘は、吹抜け部の駐輪場への導線確保がきちんと整っているというわけです。
これは当然と言えば当然のことなのですが、僕が見てきた他のツインコリダーの中には、中央からの導線しかなくて端からのアクセスが悪いといったケースもありました。
このように、駐輪場への導線がしっかりと計画されているケースは評価に値すると思います。



↑お約束のビューも載せておきましょう。
窓の形と大きさに変化をつけた、個性的な側面裏側だと思います。



↑反対側の面は、市営らしくとてもシンプルです。

以上、市営南新開荘でした。