2010年10月21日木曜日

公団金町駅前団地

















東京都葛飾区東金町
ツインコリダー数 : 2棟
形状区分 : 両面ピット
供給区分 : 公団
築年代 : 昭和43年

な、なんとここ、公団のツイコリとしては最古なんです!
いやまあ、僕が知る範囲でなんですけどね。おそらくここが最古。

位置付けとしては、公団の面開発市街地住宅の最初期モノの一つです。
面開発市街地住宅(略して面市)とは、都心に近いエリアの工場跡地を利用して、
3ha以上の用地に、複数棟の高層住棟(14階建前後)を並べた公団住宅のことを言います。
一棟建ての一般市街地住宅のような点ではなく、水平・垂直両方向に対して面的に
開発したことから、面開発というわけです。
この面市は、名古屋の又穂団地(昭和42年6月完成)、大阪の森之宮団地(昭和42年8月~翌年6月完成)、そして東京のこの金町駅前団地(昭和43年完成)、の順に建てられました。
どれも素晴らしい団地なのですが、ツイコリがあるのはこの金町駅前団地だけです。
よって、ここが最古なんですねー。たぶん。
面市以外で公営住宅とかでもっと古いツイコリがあるかと問われると微妙なんですが、今のところは確認できてません。

以上、歴史の時間しゅうりょー!
字ばっかりでつまんねーんだよ!コラ!
という方、どうかご安心を。
ここから先は、平常運転、写真メインにやっていきますよってに。


















↑どん。かっこいいです。マッシヴですね。
落ち着いた妻側のブラウンカラーといい、深々と切れ込んだピットといい、
バルコニー面にズラリと並ぶひさしのテクスチャー感といい、
どれもこれもがエレガントです。
新しい住棟タイプへの公団の気概が感じられます。

次に、妻側の足元を見てみましょう。


















↑これまた優美な足元なのです。
ピット両サイドの白い柱が、足元だけ膨らんでいて、豊かさを感じます。
ここが真っ直ぐでないのが、当時の公団の心憎いところです。
紳士淑女は足元から美しく。

次は、ピットを下から見上げてみましょう。


















↑アムロ、行きます!的な、発進したくなりそうなビュー。
幅といい、深さといい、申し分のない素晴らしいバランスです。
これぞ、ピット・オブ・ピットですね。

次は、吹き抜け内部を見てみましょう。


















↑さすがです。
何がだよ!ってつっこんでください。
最古なだけあって、ツイコリとしては原始的なのです。

まず、1階に廊下(住戸)がある!
公団のツイコリは、1階に住戸がないことが多いのです。
その理由は諸説あるのですが、それはさておき、
ここから公団が模索していったことが分かるわけです。

次、腰壁が高いコンクリートである!
これも原始的な特徴です。
一般的なツイコリは、廊下の腰壁はコンクリよりも、スチールやアルミの柵やパネルを
使った欄干になっていて、採光を多くして圧迫感を緩和しています。
ここは全て分厚いコンクリなので、廊下の開口部が小さくなって、住戸が奥に引っ込んだ感じになってます。
それが逆に奥ゆかしかったりするのですが・・・。
まあ、廊下の中に行くと、意外と明るかったですけどね。

って、また字が多いじゃねーか!コラ!
とお叱りを受けそうですが、すみません。
何しろ、ツイコリ界の重要文化財なもので、ついつい説明が長くなってしまいます。


















↑すばらしい。ハラショー!
何というシンメトリーでしょう。すてきです。
面を成す材が全てコンクリートなので、他のツイコリにはない、
古式豊かな雰囲気を醸してくれています。

写真がソフトフォーカスなのは、ガラス越しに撮ったからです。
ガラスマジックリンを持って行けばよかったと思いました。
まあ、思っただけですが。

次は、別の住棟の妻側を見てみましょう。


















↑なんと、片方が突き出ている!
絶妙なバランスです。ぐいっとやってくれましたね。
両方が長いと圧迫感が出ますし、両方が短いと淡白になります。
やはり初期の心意気ですね。

ちょっとアングルを変えて、引いて見てみましょう。


















↑か、かっこいい!
どうだ!と言わんばかりに、ぐいっと突き出ています。ぐいっ!ぐいっ!
スカイランがいいですね。初期ゆえの素朴な力強さがあります。
それも投げやりな素朴さではなく、品性と優美さを感じます。
なんてすてきな1号棟なんだ・・・。
なんてすてきにジャパネスク。


















↑ズオォォーーーン!!!!
思わずヘンな擬音を口走ってしまいます。
この面も金属の欄干(手すり)がなくて、オールコンクリート。
そして、いちいちひさしがあるので、この景観になるわけです。
細部に装飾性がない分、この整然としたテクスチャー感が出るわけです。
た、たまらん。

最後に銘盤を見てみましょう。


















↑り、立体銘盤・・・。さらに無駄に石垣・・・。
明らかに凝りすぎです。
ここまで凝ったツイコリの銘盤を見たことがありません。

念のため、アップでも見てみましょう。


















↑やはり、異様なまでに凝っています。
ただ、ツイコリの表現がちょっと甘いような気もしますが、そこはご愛嬌。
立体工作のクォリティ自体は、目を見張るものがあります。
やはり、当時の公団は面市という新しい試みに燃えていたのでしょう。


というわけで、公団金町駅前団地でした。

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