2011年1月21日金曜日
県営上湊川高層住宅
神戸市兵庫区荒田町
ツインコリダー数 : 1棟
形状区分 : 両面凸ピット
供給区分 : 県営
築年代 : 昭和46年
今回はハードボイルド風味のツイコリです。
いやまあ、あくまで個人の感想ですが。
それでは、いきなり妻側から見てみましょう。
↑渋い!
斜めの面を効果的に使った凸ピット。
しかし、この妻側全体の素っ気なさは、ただ者じゃありません。
次、妻側の足元を見てみましょう。
↑ハードボイルドですよ、これは。
は?どういうこと?
と、言われそうなので、根拠を説明しましょう。
まず、1階部分はピロティになってますよね。
それなのに、わざわざ妻側に外出し階段を作って、
屋外からしか2階にアクセスできないようになっているのです。
(この方式は他所にもちょいちょいあります)
この禁欲的なアクセス方式もすでにハードボイルドっぽいですが、
さらに、なんとこの外階段は、登った先が塞がれていて使えない!
つまり、横から入るなと。
この冷徹さはかなりのハードボイルドでしょう。
冷徹だとハードボイルドなのかは置いといて。
さらに、そもそも冷徹なのかも置いといて。
さらに、銘盤を見てみましょう。
↑このドライな威圧感!
タフな書体といい、感情に流されないコンクリートの質感といい、
奥に咲いているチョウセンアサガオといい、ハードボイルド感を醸してくれます。
いやまあ、そういう見方に囚われているだけでもありますが。
↑エレベータが4基!
4基というだけでも珍しいですが、
1箇所に集中させる思い切りが素晴らしいです。
では、吹抜けを見てみましょう。
↑怖かっこいい!
この乾いた景観はたまらないですね。
吹抜け内に街灯を配置することは、まれにあります。
↑素晴らしい。
奥壁の三連窓といい、コンクリの質感といい、
ワビサビの極致と言ってもいいでしょう。
↑張り詰めた緊張感のある造形美。
その緊張感は、おそらくは純粋に造形が生み出すもの。
(あくまで個人の感想です。)
↑コーナーの面がいい!
このタイプもたまにあるのですが、
ここのはシンプルでコンクリートの質感が好きです。
大友克洋の「童夢」に出て来るツイコリも、
内側面のコーナーに面がありますね。
↑窓フェチとしてはたまらない!
造形的には、このタイプの窓が一番好きです。
コンクリート然とした建物は一見無機質ですが、
住宅である以上、居住空間には住人の営みがあり、
社会化された共用スペースとともに、非常に有機的です。
その対比を感じ取ることも、ツイコリ鑑賞の醍醐味だと僕は思います。
というわけで、
難易度高めでハードボイルド風味なツイコリ、県営上湊川高層住宅でした。
以上。
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